2013年11月12日

「 小豆磨ぎ橋 」

「 小豆磨ぎ橋 」この写真は、読んだ本とは全く関係が有りません。
二へドンの自宅の庭の写真です。
こういう庭が大好きなのです。
平べったいレイアウトの草花だけの
庭ではなく、鬱蒼とした「 古代 」を
感じさせる植生の庭が好きなのです。

今の家に住み始めて約15年。
やっと二へドン好みの庭に創り上げ
られて来たようで、気に入っています。

左から、桜の木、梅の木、右に写り込んでいる
枝の固まりは、梨の木です。

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さて、では本題に入りましょう。

題名 : 小豆磨ぎ橋
作者 : ラフカディオ・ハーン
      角川ソフィア文庫
     「 新編 日本の怪談 」
翻訳 : 池田雅之
読了日 : 2013年11月12日(火)

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今日から角川ソフィア文庫「 新編 二本の怪談 」を読み始めます。
二へドンは縁有って、出雲の地には何度も足を運んでいます。
ですので、松江市内の小泉八雲旧居お訪れたし、島根県では、ラフカディオ・ハーンの
怪談の原作の文章を使った英語暗誦大会が毎年行われていると言う話を聞き、
そのテキストも購入した事が有ります。
そんな馴染みの有る小泉八雲なのですが、
「 おっと! いけない!! 小泉八雲の著作をきちんと読んだ事が無かったよ!!」。

大抵の日本人がそうだと思います。
恐らく大勢の日本人が小泉八雲の名前は知っているのに、
彼の著作を1冊丸まる読んだ事のある人はいないと思います。
それではいけないのです!!
知ってるつもりが一番愚かな事なのです。
だから、読みます。
読んでみました。

1番目の「 小豆磨ぎ橋 」。
文庫本の僅か1ページ半の短いお話です。
殆ど説明が為されておらず、ストーリーの概略だけなので、
想像力を掻き立てられる、と言うか恐ろしいです。
情報が何も無い事の恐ろしさを感じてしまうのは、現代人ならでは感じる恐怖なのでしょうか。

普門院の近くの小豆磨ぎ橋に夜な夜な女の幽霊が小豆を磨ぐという噂が有る。
その幽霊は「 杜若 」( かきつばた )と言う謡曲が大嫌いで、
その曲を聞くと腹を立て、歌った者には災難が降りかかると言う。

ある武士が幽霊など怖くは無いと杜若を大声で歌った。
家に帰ると女が文箱を渡す。
武士が開けてみると血まみれの子供の生首が入っていた。
客間に入ってみると、わが子が頭をもぎ取られて息絶えていた。

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ストーリーは、たったこれだけ。
その幽霊が、現世で何をして、幽霊になって小豆を磨ぐのかは一切説明されていません。
誰も、その幽霊を成仏させようと言う試みはしなかったのでしょうか?
米ではなく、小豆なんですね?
それにも何か意味が有るのでしょうか?

しかも何で、「 杜若 」が嫌いなの?
平成の今時に、杜若を歌える人は少ないけれども、二へドンの知人にはライブハウスで演奏活動を
する人が多く、たまに路上ライブをする人達がいるから、うっかり幽霊の好き嫌いを知らずに
歌を歌ってしまわないように、今度忠告してあげようと思いました。( 笑 )

幽霊や化け物が嫌いなものがあるって面白いよね。
口裂け女のポマードを思い出してしまったよ。( 笑 )

しかし、この短編、武士の子供が殺されて終わってしまうのだけれども、
殺された子供にはまるで罪が無い。
にも関わらず、父親が歌を1曲歌っただけで、命を絶たれてしまう。
理不尽この上無い。

これが世の中だと言えば、それまでだが。
東京電力と言う、自分達の金儲けが至上命題の会社の理不尽な原発の為に
多くの人々が健康被害に苦しめられている今の世の中の不条理と全く同じだと思ったよ。

幽霊って、無差別に祟りを為す、テロリストと同じ存在だと思った。
歌1曲で殺された子供が、ただただ哀れ。
しかも、殺され方がハンパ無いよね。
頭もぎ取られるんだよ。
サカキバラ事件の元祖だよね。 怖いな~。

怪談や妖怪話は、当時の社会的弱者のエピソードを、お上に知られないように伝える為の
話しだと聞いた事が有る。
この1ページ半の短いストーリーの中に、当時の「 幽霊 」に象徴される
不幸な身の上の人々に想いを馳せてみる。
僅か1ページ半。 しかし、実に深いテーマが隠されている。

***** 「 「 小豆磨ぎ橋 」 」 ・ 完 *******


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Posted by ニヘドン at 13:03│Comments(0)読書
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